人々(と言っても八割方ロボ)が手のひらサイズの通信機を駆使して流線型の建物の下で謎の言語で謎の知的生命体と思われる何かと謎のコミュニケーションと思われる何かに興じている頭上中空をタイヤなどという無粋なものを捨てた車と思われる流線型の何かが透明のチューブで仕切られた空間の中を浮遊かつギュオンギュオンと音を立てまさしく滑るように一時の休みなく移動している等々の異常な光景がもはや当たり前の姿となりつつあることでおなじみのここ東京砂漠の片隅に立つ停電が起こると水さえも使えない象牙で出来た科学の塔の奥深くにある窓はなく一筋の太陽の光すら届きはしないが常に空調その他がせわしなく働いているおかげで吐き気を催すくらい快適な薄暗い部屋でギガヘルツ級の CPU、ギガバイト級のメモリ、テラバイト級の HDD を持つ計算機を複数台従えてギガビット級の回線で繋ぎアレをナニする研究に日々頭を悩ませるという八十年代の少年が思い描くいわゆる未来そのものの環境にいるおれの手にはしもやけとあかぎれが出来ているという不条理。


要約:寒くて死にそうです。